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ドリーミング・ガンナー②【試読版】

寄稿短編試し読み

           三

 

 その日の夜。

 私はいつものように眠りについた。

 ……はずだったのに、そこは昨日と同じような光景が広がっていた。

 何で? どうして? 昨日よりも早く眠ったはずなのに……。

 けれど、今度は動くことが出来る。だからこそ、私は立ち上がり、振り返る。

「――遅かったね」

 そこに居たのは、すべてを黒で埋め尽くした人間だった。

 その人間は見たことの無い銃を構えていた。

「……あなたは?」

「それを君に言う必要は無いだろう? だって君はここで死ぬのだから」

「なぜ殺すの?」

 私は質問を投げる。影が質問に答えたタイミングでさらに質問を投げかける。それは言うならば、キャッチボールに近い。

 影は溜息を吐く。

 そうして、銃を再び私のほうへと向けた。

「何度も何度も煩いんだよ。煩わしい、と言ってもいいかな。いずれにせよ、君がここで死ぬのは規定事項ってこと」

「……答えてくれそうにはないわね」

 理解するしかなかった。

 今回はあきらめるしかない。起きて、再び機会を探るしかなさそうだ。

「そう。理解してくれて嬉しいよ。出来れば起き上がることなくそのまま死の瞬間を待ってほしかったのだけれどね」

 私の額に銃口を打ち付ける。

「さあ、死ぬがいい」

 そして影は引き金を引いた。

 

            ◇◇◇

 

 学校に到着して、私は樋川に再び提案しようとした。

 どうやら樋川は状況を理解していたようで――私がそれを言い出す前に、名刺を一枚私に差し出していた。

「その名刺に書かれている先の住所に向かうがいい。なに、そんな遠い場所ではないよ。ともかくそこに行くといい。もし心配ならば僕も付いていくよ。不安だと思うならばなおさらだ。夢の状態は精神状態に比例するからね。いい精神状態であれば幸せな夢を比較的見やすいという。逆もしかりだ。今の君の状況は……」

「良くない精神状態だから、悪い夢を見る、と?」

「まあ、簡単に言えばそういう状況かな。夢の状況を聞いた限りだと、それとはまた違いそうにもみえるけれど、取り敢えず『彼』に話を聞いてから、になる」

 樋川に背中を押される形で、私はその場所へと向かうことになった。まあ、もちろん向かうのは放課後だから、すぐに向かうわけではないけれど、これについては言葉の綾だとして受け取ってほしい。

 

《つづく》