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ドリーミング・ガンナー③【試読版】

寄稿短編試し読み

 放課後。

 結局樋川にもついてもらうことになり、私たちは指定された場所へと向かっていた。

 到着した場所は電車で十分余り、栄の繁華街。

「……ここ?」

「そう、ここ」

 裏通りを入って、美味しそうな香りが広がるお店が並ぶ通りへと向かうと、それはあった。

 けれどそこはどこからどう見てもただのみそカツ屋さんにしか見えない。看板も美味しそうなみそカツしか描いていないし。ここに行くとほんとうにあの悪夢を解消できるのだろうか? 正直、ここに行くならば精神科とかに行ったほうがいい気がするけれど……。

「もしかして、疑っているのか? いやいや、疑うことはよくないよ。ここは一番だって。一応言っておくけれど、病院に行っても薬をもらうだけだよ。それも、睡眠薬かな。正確に言えば睡眠導入剤だけれど、それを処方されて終わりだよ。何の解決にもなりゃしない。それどころか、そのままだと君は死ぬよ。確実にね」

 死ぬ? 私が?

 いったいどういうことなのだろうか。全然理解できないのだけれど。

「……それについては、後で『彼』に話してもらうことにしよう。ちょっと齧っている程度の僕が話すよりも、エキスパートである彼に話してもらったほうが君も理解できるだろうから」

 そう言って樋川はみそカツ屋さんの扉を開ける。

 扉の中はカウンター席と座敷があるこじんまりとしたお店が広がっていた。不愛想なおじいさんがこちらを見ている。ちょっと居心地が悪い。

「いらっしゃい。お二人ですか?」

 奥から、扉の開く音を聞いて駆けつけてきた女の人が私たちに問いかける。

「二階に、いますか?」

 樋川はそれを言っただけだった。

 それだけで女の人は、こくり、と頷き私たちを二階へと案内した。

「メニューはあとでお持ちしますね」

 それだけを言って、二階へ向かうよう指示される。

 いったいどういうことなのだろう。あるいは、それが合言葉の一つだとか?

 急な階段を上り、二階へ向かう。二階は畳になっているため、一階の階段前で靴を脱いでいる私たちは、そのまま向かうことが出来る。

 三つ部屋があったが、躊躇うことなく一番奥の座敷へとつながる引き戸を開けた。

 座敷にはすでに人が居た。黒いジャケット、黒い帽子を被った男性だった。スマートフォンを弄って、私たちが来るのを待機しているようだった。

 引き戸が開く音を聞いて目線を上げる。樋川を見て、男性は右手を挙げた。

「やあ、久しぶりだね。……彼女が?」

「ああ、そうだ。こいつが『悪夢』の被害者だ。もしかしたらもう進行度もだいぶ進んでいるかもしれない。だが、僕が聞いても正直『判定』は出来ない。そこまで経験を積んだわけではないからね」

「それはその通り。それについては良い判断をしたね。それについても確認しておきますか。……まあ、あうくまでもそっちについては簡易判断ですが」